20人が本棚に入れています
本棚に追加
十三年にいちど、村に彗星が近づくのだ。
もし彗星が落ちれば、この村は亡びる。
それを避けるため、彗星に生贄を捧げなければいけない。
贄となるのは必ず、
十三歳を迎える青白い髪の娘。
そして彗星の近づく今年、また娘が選ばれた。
村はずれに住む、貧乏な、嫌われ者の娘だ。
娘の父は酒飲みの粗暴者、娘の母は尻軽のあばずれだと皆が言う。
親に気をかけてもらえずに育った娘は
薄汚い身なりに、がさつなしゃべりかた。
近づくと、ぷぅんとすえた匂いがする。
そんなふうだから友だちもいない。
誰にも必要とされぬ、生贄にはおあつらえむきの娘だ。
最初のコメントを投稿しよう!