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「まさか、タカヒロの盗撮技術が役に立つとはね」
「あ? お前のストーキングは何の役にも立ってないけどな。むしろ、弱み握られてるし」
私とタカヒロは横に並んで帰っていた。来るときはたしか縦になって来たはずだ。
だが、そこに深い意味はないはずだ。タカヒロは私の隠し撮り画像も持っている。だから、私は別れたくても別れるわけにはいかない。かりそめのカップルなのだ。
「なんか、お二人とも似てますよね」
後ろから声がした。振り返ると、佐川さんがいた。すっかり存在を忘れていた。
「二人とも、ストーカー気質がありますし、あと普段はシャイでおとなしいけど、スイッチ入ると暴走するところとか」
私とタカヒロはそれを聞いて、少しほくそ笑んだ。そりゃそうだ。盗撮と殺傷未遂のカップルなんだから。
佐川さんとは駅で別れ、二人になったところで訊いてみた。
「私の画像も消した? 消してなかったら消してよね」
「あ? 消さねぇよ」
そう言って、タカヒロは歩みを早めた。
その言葉が、以前とは別の意味を含んでるように感じたのは気のせいだろうか。まぁ、迷惑なことには変わりないのだが。
私は、小走りをした。遠回りなら、走ればいい。
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