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母と子供と恋人と、
「大学で良かったの?あんたの職場みたいなもんじゃん」
「うん、1度来てみたかったんだよね!」
今日は、春多くんの通う大学キャンパスのカフェテラスにきている。といっても、この子の言うとおり、すぐ横は大学病院で私が働いてる場所でもあるのだけど。
「だって、こっちは来たことなかったんだもん。春多くんがいつも通ってるところ来てみたかったし」
すぐ横に座る春多くんに目を向けてから、周囲を見渡すと私よりずっと若い子達がキャンパスを歩いている。
同じ敷地内といっても、病院と大学、職員と学生じゃ全然違う。
医学部だけじゃなくて、他にも薬学部、看護科も設置されていて、女の子の姿も多い……。
大学。キャンパス。オープンテラス。
テーブルの上に置かれたフラペチーノをスプーンですくう。口に運ぼうとしたのに、右手首を引っ張られ春多くんがパクリと食べてしまった。
「えっ!?」
「お腹、あんまり冷やしちゃ駄目だから。半分は俺のな」
「そ、そんな。春多くん珈琲あるじゃん!」
「食べさせてよ、あーん」
「やだ、あげないもん」
「冷えは妊婦に禁物だろ?」
「でも、私のだもん!」
「うえー、バカップルがいると思ったら。春多かよ」
どこかで聞いた事のあるような声に振り返れば、春多くんの友達の和泉くんが立っていた。
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