好きなあの子のストラップ

第一話「はじめまして」

　はじめまして。ぼく、クマのストラップです。

　名前はありません。

　世の中には、プー〇んやダ〇フィーなどの有名なクマがいますが、ぼくはそれらを目の敵にしています。
　あいつら、クマのくせに名前があるんです。ずるいです。

　え？ どうしてストラップがしゃべっているって？
　あぁ、これ以上話すとメタ的なことになるんでやめておきます。ちなみに、この声は他の人には届かない設定になってます。

　ぼく、実は前世は人間なんですよ。驚きました？ ぼくは未だに驚いています。

　ほら、転生したらストラップだった件ってやつです。

　ぼく、前世で好きな子がいたんですよ。
　あ、好きな子止まりじゃなくて、前世のぼくは勇敢に告白して成功させましたからね。そこんとこよろしくです。

　それで、初デートの日、某夢の国遊園地に行くことになったんです。

　そこでぼくが買って、彼女にあげたのが、ぼく、ストラップです。

　この話の設定、理解出来ましたか？ ぼくは未だに理解できないですね。

　まぁつまり、転生したら彼女のストラップだった件ってことです。転ストとでも略しますか。

　そんな転ストを果たしたぼくですが、転生したからには死んだわけですよ。

　齢19歳にして、他殺で死亡しました。
　気が狂った通り魔にぶすっと…はい。