4人が本棚に入れています
本棚に追加
電線にとまるカラスの声でふと、時間の心配がよぎる。慌てて時計を見ると、16時51分を指していた。食べるペースをあげないと、佐々木さんに怒られてしまう。かがんでいた足を伸ばして、まだ半分も手をつけていない料理の前に再び腰をおろす。ガムテープで固定されているせいで、一層不便さを増している、プラスチック製の軽い時計。数字が刻まれてないせいで、正面から見ないと時間が正確にわからない。本来なら少し姿勢を崩すだけでもよかったが、眠けざましにあくびひとつで、立ち上がる。6時間目の体育の疲れが尾を引いている。こういう一手間が大事。これも、おばあちゃんからの教えだ。
無心で、ハヤシライスを口に運ぶ。スプーンについたルーまで、綺麗に舐めて、空になった皿を持つ。ご飯分重くなった体を上げると、ジーンズでせり出した胃が潰されて、屁の代わりに大きなため息がでる。
最初のコメントを投稿しよう!