5、心予報は晴れのち曇り

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 荷物を片付けて、校内を出る。今日はそのまま駅に行くバスには乗らないで、大学の図書館に行った。今日の課題をやるためではなくて少しだけ、休みたくて。  図書館に行って個別に分かれている学習室の机に向かって何も教材を出さず、背もたれに体を預けながら何もない天井を見上げる。 「頑張りすぎないがわからない」  どうやったら頑張らないようにできるのだろうか。ほどほどがわからない。中学、高校と真面目に勉強に取り組んできたから、力の抜き方がわからない。お昼休みの時だってそうだ。桜花ちゃんと恵理ちゃんにこれ以上心配をかけたくなかったから、言った。大丈夫だって言ったけど、全然大丈夫じゃないや。このことを二人に伝えたら余計に心配をかけてしまう。 「そんなの、幻滅されそうでやだ……」  助けてと言いたいのに救いを求められない。私ってこういうやつだったっけ。 「わかんない」  いろんな思いが頭の中を駆け巡って、考えるのをやめた。これ以上考えたら何も手に着かなくなりそうだから。 「……帰ろう」  重い腰を上げて横に置いていた荷物を持つ。底なし沼の中を歩いているような感覚になりながら駅に向かった。気が付いたら家についていてやらなきゃいけない課題はその日初めて放り出してしまった。 何も考えず重い腰をベッドに下ろす。今はただ何も考えたくない、見たくも知りたくもない。そんな思いで瞼を閉じた。
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