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心なしか月曜日は早く創作の講議にならないかとそわそわしてしまう。午前の講議を終え、お昼を食べながら今日の創作の講議はどんなことをするのだろうとワクワクしていた。
「ここ、創作楽しみだって顔に出てる」
桜花ちゃんの言葉にすぐに恵理ちゃんが反応する。私の顔を覗き込んでは、うんうんと頷く。
「わかりやすいよね、心音が考えてること」
「そ、そんなことない!」
「いいや、ある。ここ、先生によって講議の集中力全然違う。特に創作の時はいつもより楽しそうだもん」
「先生の力もあるかもしれないけど、それだけ心音が夢中でやれることがいいなって正直羨ましいよ」
恵理ちゃんはそう言った時、とても優しい眼差しを向けられた。その瞳が思っていることを追求することができず、曖昧な返事をしてしまった。
二人と別れて南館にある教室に向かう。教室に入ればもうすでに彼は着いていた。彼に挨拶をしたところでパソコンと資料を持った坂口先生が来た。各自資料を受け取ったところで講議開始。先生は課題で提出されたレポートを参考にこの講議中に書いてみたい作品について一人一人聞いてきた。
「柴崎さんは現代ファンタジーの作品、ですか。どんな話を書いてみたいですか?」
「えっと、人に助けられた動物が助けてくれた人に恩返しをしていくものを書いてみたいです。恩返しの仕方はまだ考えていないんですけど、シンデレラみたいに魔法をかけてもらって一定期間一緒に過ごした物語を書いてみたいと思っています」
「うん、いいと思います。作品の人物設定や魔法などをしっかりとすればいい作品が書けると思いますよ」
「ありがとうございます」
こんな風に物語を書きたいといった要点を先生はメモをして、答えてくれた。それも一人一人の考えに沿ったものを的確にアドバイスをくれる。
ルーズリーフに設定をしっかりと考える、と書いて講議に参加している人の作品を聞いていく。ルーズリーフから顔を上げると今、香月君が発表していた。
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