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「心を持たないAIが一緒に過ごしていた人の言葉の意味を知る、作品が書きたいです。なんでジャンルはSFよりも恋愛なのかなって思ったんですけど……」
「それは難しいね。でも恋愛でもいいと思うな。話の構造とかちゃんと考えればいいものができるよ」
先生が最後に今週の課題を伝えて講議が終わる。相変わらず講議が終わればすぐに香月君は教室から出ていく。その光景を横目に見ながら荷物を鞄に詰め込んで教室を後にする。
大学から駅に向かうまで、一人静かに向かう。周りの人の声、車の音、自然の音もなぜか私の耳には入ってこない。不思議と時が止まったような感覚。でもそれも、香月君がいる駅のホームに行けば全ての音が戻ってくる。
それがなんとなく居心地がよくて時間の流れがあっという間に過ぎてしまう。
一緒に帰ろうとは約束はしていない。ただ、午後の講議が一緒の時か駅のホームで会った時は一緒に帰ることが増えていった。メッセージのやり取りも相変わらず増えていくばかり。不思議なことに一緒にかる時はお互いスマホを使わないで会話をしていた。
三週目にもなり新しい講議にも慣れてきた頃。木曜日のお昼休み、食堂でお昼を食べていると、突然桜花ちゃんがあることを言い出した。
「ねぇここ。香月新とどういう関係?」
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