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彼とは帰り道は一緒なんだし、今日も駅のホームで会えるかもしれない、そう思っていた。
けれど彼は私が帰る時間に大学内にはいなかった。桜花ちゃんと恵理ちゃんと駅に向かっている時もホームにいるのかな、なんて考えていたのに。彼は液のホームにもいなかった。それだけのことで思い知らされる。一年の時に見かけただけの彼、昨日楽しく話した彼について何も知らないのだと。同時に私の考えも甘いものだと言われているような感覚になる。
「いつなら、一緒に帰れるかな、いつなら彼と話せるかな。いつなら香月君と連絡先交換できるかな……」
昨日の私の秘密、もう折れそう。
私の小さな期待は水、木、金曜日と三日連続帰りが会わなかった。一人で電車を待つ時間が酷く長く感じたのはこれが初めてだった。
「来週は、話せるといいな……」
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