2、タイミング

2/7
前へ
/29ページ
次へ
  彼とは帰り道は一緒なんだし、今日も駅のホームで会えるかもしれない、そう思っていた。  けれど彼は私が帰る時間に大学内にはいなかった。桜花ちゃんと恵理ちゃんと駅に向かっている時もホームにいるのかな、なんて考えていたのに。彼は液のホームにもいなかった。それだけのことで思い知らされる。一年の時に見かけただけの彼、昨日楽しく話した彼について何も知らないのだと。同時に私の考えも甘いものだと言われているような感覚になる。 「いつなら、一緒に帰れるかな、いつなら彼と話せるかな。いつなら香月君と連絡先交換できるかな……」  昨日の私の秘密、もう折れそう。  私の小さな期待は水、木、金曜日と三日連続帰りが会わなかった。一人で電車を待つ時間が酷く長く感じたのはこれが初めてだった。 「来週は、話せるといいな……」
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!

21人が本棚に入れています
本棚に追加