21人が本棚に入れています
本棚に追加
この前会った時に言っていた言葉が曇っていた私の心に一筋の光が差し込んできた。
毎日彼と話す機会を伺うのではなく、多分取るであろう講義に声をかければ良いのだと今更気づくだなんて。それだけのことで気持ちに余裕が出来て鉛のように重かった心が軽くなる。
ぼんやりと見つめていた空には曇り一つない青空。その空に元気をもらい、気持ちを切り替えるように深呼吸を一つし、残り時間が僅かな午前の講議に参加した。
講議を終えて、食堂でお昼を食べている時、桜花ちゃんがおずおずと口を開く。
「ここ、私と恵理午前の講議だけなの。ここの創作の講議が終わるの待ってようか……?」
「待っててくれるのはありがたいけど……。二人の予定は大丈夫?バイトの時間とかに間に合う……?間に合わなさそうだったら帰ってもいいんだよ?」
確か一年の夏休みごろに恵理ちゃんがバイトを始めたことを思い出す。大学があるところではなく、地元の方でバイトをしているからシフトに間に合うか不安だった。私の意図にかが付いたのか恵理ちゃんは少し考える素振りをして、「あのさ」と右手を上げた。
「時間はもしかしたらギリギリかもしれない。今日はお昼食べたら帰ってバイトの時間に間に合うかどうか検証?確かめてみるよ。それでも時間が合わなさそうだったら桜花と帰る。それなら心音も納得する?」
「うん。それでお願い。桜花ちゃんもそれでいい、かな?」
「いいよ。ここ、午後の講議頑張って」
「ありがとう」
お昼休みが終わるまでお互い他愛のない話をして、二人は帰っていった。二人と別れてから私は創作の講議を受けに校内に戻って行った。
最初のコメントを投稿しよう!