本編

2/6
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
 「おーい。誰か助けてくれよー」  人通りの少ない田舎道で、青色の錦を持つ鯉のぼりは、土の上で寝転がっていた。なんでこんな事になってしまったのか、鯉のぼりには分からない。気づいたらここで寝ていたという感じだ。  「いったいどうすれば良いんだろう」  鯉のぼりは対して面白みがない空を見た。ここに来た理由は解らなくても、元いた場所に帰らなくては行けないのは直感で知っていた。しかし、いくら体を動かそうとしても2、3歩で疲れてしまった。そうしている内に、太陽が何回も東から出て、西へと沈んでいった。  「はあ、もしもここが海だったらすぐに帰れたのに」  ある晴れた日の昼に鯉のぼりがため息をつくと、空からカラスがやってきた。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!