彼氏の気持ち 彼女の気持ち

38/41
3599人が本棚に入れています
本棚に追加
/274ページ
「あの、これだけ動画が人気なのだから、結婚せずにもう少し自分でやってもいいのではないですか?」 彼女の話し振りからは、結婚生活よりも動画制作の方を優先したいと言っている。 「人気って言うけど、最近、少し登録者数が減ってるのよ。私も色々と新しいレシピを考案するけど、マンネリ化は否めない。それなら家族がいても時短で美味しいレシピで攻めようと思ったのよ。子どもが出来たら、離乳食のレシピもできるわ。」 なるほど。それで、奏大の優しさに漬け込んで、結婚して家を建てようと話を持っていったわけか。ところが奏大は家に関しては思ったより手強かったと。 でも、それって違う。 そんなことしても登録者数は減る気がする。 「動画制作には素人の私が言うのもなんですけど……」 美麗さんがようやく顔を上げて私を見る。 「あなたの幸せな家庭生活を見て、共感してくれる方もいるかもしれないし、同じように家族がいる人が登録してくれるかもしれませんが、私のような独身の身、仕事に熱を注ぎ、結婚なんて考えていない身がそんな動画に出会ったら、今まで登録をしていても登録を止めると思います。」 「……。」 そう、人の幸せな暮らしなど見たいとは多分思わない。 「だから、あなたに必要なのは、旦那様ではなく、もっと単純なレシピだと思うのです!!」
/274ページ

最初のコメントを投稿しよう!