ストロベリージャムを買いに行こう

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体、重過ぎ。 スタッフルームのデスクに突っ伏する。今日作成すべき一通りの書類を上げ終えた午前11時。集中力を手放した途端、襲いかかってきたのは、体の重みと睡魔だ。 あれ確か4時ぐらいだったよね? どちらともなく目が覚めたのだ。 そうして、楢崎が暗がりの中でキスしてきた。次があるとしか言えないディープなやつ。 そして、私もつい応えてしまう。 後はそのままお互いに歯止めが効くわけもなく、体を重ねた。 結局、最後は私がいき過ぎて意識を手放したのだ。そんな風になるのは楢崎だけ。本当にあの男は私以上に私の体を知っている。 次に目が覚めたのは、スマホのアラームが鳴って起こされたから。私は楢崎の腕の中にいて、楢崎もそれはもう幸せそうにすやすやと眠っていた。 で、楢崎を叩き起こして支度をして出勤したわけ。 いや、でも、本当に信じられない。あいつの体力、底なしなんじゃない!?今日も朝からけろっとした顔で賃貸物件の案内に行ってしまったし。 はぁと溜息をついて、ホットコーヒーを淹れるために席を立った。 頭の中で楢崎の声がする。 手放すことも惜しい。新藤一華の存在全部。 って。それって何?好きってこと? ねぇ、もし私があんたに今度こそ好きって言えたら、受け入れてくれる? スタッフルームに横付けされた給湯室でコーヒーメーカーからコーヒーをカップに注ぐ。 コポコポと注がれるコーヒーと湧き上がる湯気を眺めていたら、 「新藤さん」 と背後から声をかけられた。 振り返るとそこに所長が立っていた。 「大事な話があるんだけど、ちょっといいかな?」 「……はい。」 大事な話? 何だろう、改まって。
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