異世界の楽しみ探し

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 細かい作業をするには、集中力が要る。そして、文字を刻む際に「魔力持ちが手を触れていなければならない」ことからしても、作業中は幾らかの魔力も使う様だ。  そう……つまり、1日に1缶分やれば充分だ。下手に2缶目に手を出して、失敗するのも怖い。どうしたって、材料にも限りがあるから。  ギフト解体セールがあったから、何時もよりは缶ジュースの蓄えが有った。だが、異世界召喚された以上、これ以上の缶ジュースが手に入るかは不明。  なので、今日は今から寝るまでを、読書タイムとする。細かい作業をしている時は交感神経が優位になるし、寝る前はリラックスしておかないとだ。  そう言えば、こちら側にも紅茶はあるが、珈琲には出会っていない。それは、世界が違うから珈琲豆の栽培はしていないのか、そもそも珈琲豆自体が無いのか。  或いは、珈琲豆は栽培されているし飲まれてもいるが、今まで出会った人達は、そこまでカフェインを摂取してまで働く人が居ないのか。  これはあれだな。異世界バージョンドリンクバーをプレゼンテーションして、受けが良かったらその見返りに私物限定召喚をやらせて貰うか。前回の召喚でもかなり欲張ったが、その召喚で美味しい飲み物が飲めるかも知れないと思わせる。  安かったから買った缶珈琲に、濃縮タイプのお茶。そして、炭酸入りのエナドリにアルコール。炭酸入りの缶で上手くいくかは定かではない。だが、私物限定召喚が可能なら、それらも纏めて召喚してやろう。  そうでなくとも、こちら側にない食べ物は、あったら嬉しい。提供される料理に不満はないが、だからと言って心までは満たせない。せっかく買い込んだ食糧を無駄にしてしまうのも何だし。
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