2.近い距離感

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 ※※※ 「いってきます」  太陽が白く輝く。テレビか何かで太陽の色はオレンジ色だとやっていたけれど、自分は白がぴったりだと思う。瞳を少し閉じてみても、まぶたに光が貫通して、やっぱり眩しい。  スズメが電線の上で寄り添い、「チチチ」とさえずる。ああ、なんて爽やかな朝なんだろう。今日も一日いいことが起きそ……。 「おっはよ~! 三浦っち!」  早速、予想を裏切る結果となってしまった。 「ちょっと、三浦っちったら無視~? 冷たいな」 「……しばらく行った先にライトが待っているから、一緒には行けないよ」 「え~! またライトくん? もう」  そんなこと言われても……。 「それより、帰りはライトくんじゃなくて、私と帰るって伝えてくれた?」  ああ。すっかり忘れていた。 「伝えてない」 「はぁ~! なんでよ!」  それはこっちの台詞なのだが……。 「私、もっと三浦っちと仲良くなりたいのに! 私からライトくんに言う!」 「やめてよ」  というか、中々に恥ずかしいことをストレートに言っている自覚、あるんだろうか。 「ライトくん、サッカー部に友達いないのかな。三浦っちが美術部で私しか友達いないように」  つっこみどころ満載すぎて、何から言えばいいのやら。 「……あのさ」 「なに?」 「なんで自分とそんなに仲良くなりたがるの?」  とりあえず、一番気になったことを、口にした。 「なんでって……」  山内さんが口に手を当てる。 「仲良くなりたいって気持ちに、理由なんている?」 「え」 「しいて言うなら、前も言ったけど三浦っちに興味があるから、だけど。でも理屈とか損得とかで仲良くなるもんじゃないと私は思うけどな」  まぁ確かにそうかもしれないけど……。 「じゃあなんで、三浦っちはライトくんと仲良くするわけ?」 「なんでって……腐れ縁だからそのまま……」 「ほら、そんな大きな理由なんてないでしょ」  そう言われると、もう何も言い返せない。 「ライトとは仲良くなりたいって思わないの?」 「うーん。思わないというか、彼、私のこと嫌ってない?」  嫌いとまではいかないだろうけど、そういう感じのことを、もうくみ取られてたんだな。 「ま、全ての人と仲良くなる必要はないからいいんだけどさ!」  彼女はニッと笑うと、こちらを向いた。 「だから、三浦っちは私と一緒に帰る許可、ライトくんから取ってね」  だからなんでそうなる……。 「私が許可取るのはダメなんでしょ! よろしくっ!」  そう言うと彼女は風のように駆け抜けていった。  なんなんだ。  ライトの話を聞き流すのがすごく楽しい時間というわけではないけれど、山内さんに振り回される時間もそれなりに疲れるんだけどな……。 「おはよ、シンヤ。いつもより三分遅かったな」 「ごめん……」  ライトは今日も自分より先に来ている。時間もきっちり見ているあたり、几帳面なのか待つのが嫌なのか……。 「行こうぜ」  そのまま並んで歩き出す。
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