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「ねぇ、森が丘高校って、校則うるさい? 私スカートはやっぱり短くしたいんだけどさ」
「……そんなにうるさくはないけど、初日からあんまり短いといいイメージはないと思う」
オシャレしたい気持ちが分からないわけではないけど、短いスカートを見ると「寒くないのかな」と思うし、「先生からよく思われないだろうにそこまでしてやる意味」とも思う。
それに下心の有無関係なしに、女子の陶器のような生足を見ると少しどきりとする。そして、どうしてもそんな風に見てしまうから、自分がとんでもない変態だと女子たちから思われているのではないかと、ひやひやする。だから、本当にやめてほしい。
この距離感の近い女子も同様だ。無難に普通に履けばいいのに。
「……なんか、すごく声枯れてるけど、大丈夫?」
「……たぶん、風邪。大したことじゃない」
「本当~? 病院は行ったの?」
「いや、別にいいかなって」
「え~! 行った方がいいよ。放っておいたら悪化するかもしれないし。オススメは……って、私この辺の病院知らないんだった」
わざわざ遠くからこの高校に通っているんだろうか。――まぁ、この地域の人の滑り止めはほとんど森が丘だろうし、隣の市とかから通っていたとしても変じゃない。
「あなたは、この辺の人なの?」
「……まぁ、徒歩で通えるくらいには」
「へ~! 私と同じじゃん!」
……ん?
「私、前の高校は電車につぐ電車で、もう通学するのがすごく大変だったんだ~。慣れたころに転校になってさ。まぁ、楽になったから良くはあるんだけどね」
「え、あ、あの」
「ん?」
「もしかして、て、転入生?」
信じられなかった。
だって、森が丘にわざわざ転入してくるなんて、そんな変な人がいるわけ……。
「そうだよ! 親の転勤の関係で転入することになったの」
いた。変な人。
「もしかして、二年生……?」
「そうだよ。あなたと同じ二年生です!」
「え、な、なんで分かって……」
「首元に赤いバッジがついてるから。森が丘って学年ごとに違う色のバッジつけてるんでしょ。三年生が青。二年生が赤。新入生が黄」
そういえばそうだった……。
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