9.白い太陽とレモンイエロー

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※※※ 「や……っや……」  何だか、ぼんやりと声が聞こえる。 「ま……まや……」  それが段々とくっきり輪郭を帯びていく。 「真矢……真矢……」  ……名前?  私、今ここで何を……。  ハッ。  パチッと目が覚める。  知らない天井が視界に映った。 「ここ……どこ」 「真矢!」  その声は……。 「お母……さん?」 「もうあんた、本当にすっごく心配したんだから!」 「真矢っち!」 「真矢ちゃん!」 「みんな……」 「あんなところで気絶するバカがいるか! もう本当、死んだかと思って私心臓が止まりそうになったんだから!」  ああ、私、気絶してたのか……。 「でもよかった、無事で」  みんなが涙ぐむので「そんな大げさな」と思いつつも、少し嬉しかった。 「そういえば……橘久は?」 「え?」 「橘久はどうなったの?」 「ん……ああ、ライトくんね。彼は今警察から事情聴取を受けてるよ」 「あんな奴、あのまま少年院に行ってしまえばいいんだ」 「ちょっと尚香、言い過ぎ」 「なんでよ! そのせいで真矢っちがこんなことになったんだから!」  二人の掛け合いがおかしくて、フフッと笑ってしまう。 「笑うところじゃない!」 「ご、ごめん。すっごい真剣な尚香がおかしくて」  も~と口を尖らせる様子に、また笑顔になってしまう。 「三浦真矢さん、目が覚めましたかね」  看護師さんが部屋に入ってくる。 「はい。心配かけてすみません」  鏡を見なくても分かるくらい、今の私は清々しい表情をしているんだろうな、と思った。
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