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プロローグ――魔王は既に死んでいる――
「そんな……馬鹿な……」
倒れている巨大な魔物を目の前にして、勇者は愕然とした。
魔物達の頂点に立ち、殺戮等の残虐行為をはじめ、様々な悪事を配下達と共に繰り返してきた魔王。
平和だった国に突如として現れ、多くの民を恐怖と不幸のどん底に叩き落とした。
勇者は魔王を倒すために国王や多くの民から支援を受け、心強い仲間達と共に、ここまで来た。
魔王の居室を守る手強い護衛を倒し、いよいよ決戦だと覚悟を決めた。
そして、巨大かつやたらと重い扉を開けた。
だが……
魔王は既に死んでいた。
息一つしていない。脈拍もない。
魔物だから息も脈拍もないかもしれない、と勇者達は考えたが、魔王は微動だにしない。
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