一.

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力強く頷いて、サルもだんごを持つ腕を持ち上げた。 「あぁ。これでようやく、鬼の野郎どもに燃やされた里の連中の仇が討てる」 イヌも同じようにだんごを掲げる。 「あたしのかわいい子供たち。空の上から母ちゃんを見守っていてね」 キジは踊りの振り付けのように両手を伸ばした。 「劇団のみんな。先生。きみたちの分までぼくは踊るよ」 桜の花びらが降り注ぐ。 鬼を討つために集った彼らのあいだには、目には見えない強固な絆が出来上がっていた。口に出さずとも互いに互いを信頼している。それゆえに生まれる安定感が、敵の本丸を前にしても揺るがない自信に繋がっていた。 「勝とう。ぼくらの未来を掴むんだ」 仲間たちと最後のきびだんごを頬張った。
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