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城の表玄関、大手門には太い閂がかかり、来訪者の一切を拒んでいた。
頑丈な木製の扉に、真横に一閃、鋭い光が走る。
轟音とともに門が城内に向かって砕け散る。木片や瓦礫をまき散らして、白い体毛の巨大な狒々が飛び込んできた。
人よりも大きく屈強な体躯の鬼。そんな鬼よりも、さらに一回り大きな狒々だった。サルのもうひとつの姿だ。扉を吹き飛ばして乱入すると、その場に居た鬼たちを拳で叩き潰していく。
悲鳴と怒号が響き渡る。
慌ただしい足音とともに鬼たちが駆けつけてくる。
狒々の背からキジが飛び上がった。上空高くへ跳躍すると、眼下の鬼たちめがけて小刀を投げつける。翼のなかに仕込まれた刃が雨となって降り注ぐ。
石垣の影に逃げ込んだ鬼が弓に矢をつがえ、頭上のキジに狙いを定めようとする。
青みがかった黒い毛並みをなびかせながら猟犬が現れた。長い四肢で地面を蹴り、しなやかに疾走する猟犬は、塀を垂直に駆け上り、矢をつがえる鬼へと牙を剥いて飛び掛かる。
強靭な顎で噛みついた首を砕く。弓と矢が地面に落ち、食いちぎられた鬼の頭が転がった。
青年は本丸へ続く坂道を駆け上る。
立ちはだかる鬼は、鞘から走らせた一撃で両断。
白銀の尾を引いて刀身が走る。花の意匠が彫られた刀の鍔。鮮やかな赤色の組紐で巻いた柄を握り、容赦なく切り伏せていく。
「そのまま駆け込めぇえぇッ!」
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