14人が本棚に入れています
本棚に追加
/17ページ
「なんで……」
「なんでってあんな不安そうな顔されたら嫌でも気付くでしょう? 玄関先でもいいので、お話ししませんか? 外だと反響してしまうので」
「いやあの……あまり綺麗じゃなく……て」
玄関に鎮座する資源ごみを見つめる。
返事も聞かず玄関に入った彼を扉が追うように閉まって、激しい音がした。彼はペットボトルに視線を落としたまま気にした様子もない。
「え、もしかして、窓あいてませんか?」
不安が過ぎる。
「うそ開けっぱなし?」
「ここにいますから見てきてください」
「あ、あの……誰かいたらすぐにきてくださいね」
「えっと誰かって、強盗とかそういう?」
「は、はい……」
「俺が見てきましょうか?」
少し笑われたような気配につい、意固地になる。
「大丈夫です! いってきます!」
「行ってらっしゃい」
ひらひらと、廊下を歩き出した私に手を振ってくる。
廊下を突っ切り、リビングに続く扉を開けて閉める。電気をつけると、盛大にカーテンがベールのように揺れていた。
周りを見渡し、人がいない事を確認する。
一旦離リビングから出ると、トイレとお風呂も確認して戻る。
「で、大丈夫でした?」
「はい、人はいませんでした。でも開いてました」
「真中さんって、真面目でちゃんとしていそうですけど、ちょっと抜けているんですね」
「え……抜けてますか?」
男性からそう言った言葉を言われたことがなかったから驚いた。大人しそうとか、つまらなそうとかそういう印象しか持たれたことはない。
「男を容易く部屋に入れてしまうとか、ダメですよ知らない人を入れちゃ。まあ僕が勝手に入ったんですけどね」
全く危険な雰囲気もなく言う。
「私なんかを襲うような人いませんから」
「幸せ遠のきますよそれ」
「そうかな」
すでに遠のきまくって、宇宙の彼方だ。
今日だってよく分からないことに巻き込まれているし、合コンもうまく行かなかった。
「無粋な質問とは分かってますけど、お付き合いされているカレは?」
「いませんけどなにか?」
「好きな人いないんですか?」
「いるように見えます?」
ついキツくなってしまう。半ば焼けだ。
「結婚願望は?」
「それは……わからないです。別に子供がすごくほしいわけじゃない。一人も快適で。でもときどき独りが寂しいって思ったり。ってなんの質問なんですか、貴方には関係な……」
「じゃあ、とりあえず、婚約者は続行しましょうか」
剛は思いついたようにパチンと指を鳴らした。
最初のコメントを投稿しよう!