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二伸
二伸
馬鹿らしい。
本当に、馬鹿らしい。
変わるなんて、変化を受け入れるなんて、私らしく生きるなんて、大言壮語を抜かして置きながら私は何も変わっていません。
終止符を打ったはずの遺書に、遺書ですらない何かを付け足そうとしています。
ええ、本当に弱い人間ですね。
自分で決めたことすら、成し遂げられない。
そのくせ、こうして逃げ道を、捌け口をきちんと用意して。
最悪な人間です。
よくある話です。
一度完結した物語が、数年越しで主人公の子供を主人公に始まるような話。
続きが見れる喜びは得られても、どこか物足りないストーリーに見えるのです。
あとは、人気があるからと言っていつまでたっても完結しない物語などでしょうか。
だんだんと、みんな離れていくんですよね。
これもそんなような文章なのでしょう。
完全に蛇足でしかない。
それでも私は他ならぬ自分のためだけに蛇に足を書くのです。
下らないことをして、何もかもを台無しにするのです。
虐待を受けている子供に、虐待されていることを認識させることが一番難しいと聞きます。
やはり、子供は意識していなくても、ひどいことをされていても、親のことが大好きだからでしょうね。
私はどうでしょう。
答えはわかりきっています。
私は親のみならず、家族全員のことが嫌いです。
思春期特有の反抗期でしょうか。
それもあるのでしょうね。
私は虐待されていました。
ひとりの父と、もうひとりの父から。
最初の父は、家庭内暴力。
虐待、DV。
もうひとりの父は、性的暴行。
性的虐待。
私が我慢すればいいだけの話だと思っていました。
家族の輪を、壊さないように。
問題など何もないという顔をして。
約3年間、耐え続けました。
死ぬまで隠し通すことなどできない。
中学3年の夏、すべてが露見しました。
やっと解放されると思いました。
ようやく、地獄のような夜が終わるのだと、そう思いました。
家族にすべて露見しても、地獄は終わらなかった。
いえ、確かに終わりました。
新しい地獄が始まっただけです。
すべてを知っていながら、黙認していた姉は、ええ、賢いですね。
私に対するリカバリーよりも、自分が浮気されていたという意識が強かった母は、ええ、愛が深いのですね。
味方などいません。
今も爆弾を抱えたまま、表面上の平穏を保って、家族として過ごしています。
些細なことを気にしなければ大丈夫。
そういった私に、
それはあんまり大丈夫じゃないと、
教えてくれた子もいました。
わかってます。
全く大丈夫じゃありません。
誰か助けて。
とか、そんなことを言っても救いがないのはわかっています。
助けてくれる人なんていません。
そして、私の周りに助けてくれる人がいないのも、また私のせいなのです。
ひとりが嫌いなのに、ひとりを選んで。
一体なにがしたいんでしょう。
どうしてそうなったのでしょう。
私はどうして、こんな風になってしまったのでしょうか。
前世で大きな過ちでも犯したのでしょうか。
いえ、違います。
努力をしなかったのは私です。
この性格を選んだのも、私です。
つらいことがあるなら話して、と母と姉は言いました。
話しても
「私なんて○○だったんだよ?」
と、不幸自慢をされるだけでした。
自分の経験に比べれば、私の悩みなどちっぽけなことだとでも言うように。
だから、話すことをやめました。
わかってもらおうとしなくなりました。
そうしたら、言われるようになった言葉が増えました。
「お前は冷たい子だ」
「家族のことなんてどうでもいいって思ってるでしょう?」
笑えてきます。
あなたたちのようなひとを家族というのなら、いりません。
ええ、どうでもいいです。
私はあなたたちが嫌いです。
憎くはない。けれど、確かに冷めた殺意が湧くほど嫌いです。
腹の底が冷えるような、そんな感覚で、殺してやりたいとは思わずとも、いなくなればいいと、何度も思いました。
全員消えてくれればいいのに
そう思った回数は、一体何千回でしょう。
それでも、家族は簡単に家族じゃなくなることはできません。
だから、表面上だけでも、家族であろうとし続けてきました。
笑って、笑って、笑って、我慢して、我慢して、
それなのに、冷たいと、家族のことを考えていないと言われるのです。
姉に死ねと言われました。
どうせ死ねないくせに
と、そうともいわれました。
その通りです。
死ねません。
臆病者ですから。
消えたい。
この世から存在を抹消してしまいたい。
とけるように、何も残らず消えてしまいたい。
関わった人間すべての記憶からもすぅっと消えて、元々存在しなかったのかのように、消えてしまいたい。
どうして、許されないの?
どうして?
生きてればいいことあるよ
生きているかさえ、わからないのに?
もう嫌だよ
もう嫌。
愛されないことに慣れたふりをするのも、
ひとりが平気なふりをするのも、
つらいことなんて気にしてないふりをするのも、
気を遣って結果蔑まれるのも、
優しさを理解してもらえないのも、
期待して裏切られるのも、
嫌われることも、
もう、いやです
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