VIO ~ serious ✕ horny ♡ ~

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 幹人はスタスタと進んで他のドアを開けたり覗いたりしていた。 「何してるの?」 「こっちがトイレでこっちがお風呂みたい」 「ああ、うん」  それから棚なども調べていた。何をしているんだろうと思ったけどまあいいやと思っていた。  ソファに座る。  ベッドの前の大きなテレビが気になった。なんだか女の人がいっぱい映っている。普通のテレビじゃない。 「あ!」と美月は思った。 「なに!?」 「カギ!」  美月は入ってきたドアを調べにいった。ちゃんとカギがかかっているか不安になったのだ。  オートロックだったので、締まっていた。  安心してソファーに戻る。  探検を終えた幹人もソファに来た。 「来ちゃったね」 「うん」  …………。 「なんか変なテレビだねー」美月はテーブルの上に置かれたリモコンを取ってボタンを押してみた。  あん! あん! あん!  何!!!!!!!!!!?  いきなりテレビに裸の女の人が現れた。それも、 「ちょ」と幹人が言った。美月は慌てた、ど、どうしよう、なにこれ。 「か、かしてみ」幹人にリモコンを渡した。 「コンドロイチン!」とテレビが言い出した。普通のテレビになった。ほっとする。  幹人がソファに座った。幹人もほっとしているようだった。  よく見たら、幹人もお洒落をしているようだった。ジャケットなんか、いままで見たこともない。 「テレビ、見る?」 「いや、見ない。見たい?」  美月は首を横に振った。 「どうやったら」と言って幹人はリモコンを睨んでからとりあえずボタンを押してみた。  テレビは消えた。  よかった、とふたりは思った。  すると、なにやら音楽が聞こえてきた。  ふたりで天井を見上げる。  BGM、だろうか。 「なにこれ」 「さ、さあ」  とりあえずテレビが消えたのでまあいいやとふたりは思った。  思ったけど、これからどうすればいいのか分からなかった。  ソファに並んで座って沈黙する。 「なんか頼めるのかな」と言って幹人はテーブルの上に置かれたメニュー表を手に取った。 「い、いらない」美月が遮る。「その…」  よく、わからない。わからないけど、美月は幹人の手をとった。  ぎゅっと握る。また、沈黙する。
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