3.残り香

9/11
174人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
「榊原君、熱があって倒れていたとは思えないほどぴんぴんしていたね。」 「はい。それにどこか人が変わったように感じました。他の生徒ならまだしも、花村くんを突き飛ばすような真似を、あの幸先輩が素でするとは思えません。」 「うんうん!!あれは絶対おかしかった!!委員長めっちゃ変だよ!!」 「…そうだ、そういえば榊原君、美央はどこだ、と言ってなかったか?」 「はい。…今、美央といって出てくる人物は一人しかいません。 転校生の有住 美央。それ以外、この学園内で美央という名前の人物は一人もいません。」 「さすがは朝霧君。学園中の人の名前を憶えているんだよね。素晴らしい記憶力だ。」 「いえ。 話を戻しますが、……昨日、食堂で会った時、そして花村君と別れる前までは、幸先輩はあのような様子ではありませんでした。」 「てことは、なにかがあったのは昨日の事情聴取の時かそのあとって可能性が高いよね。」 ひとまず泣き止んだ朔也と、大鳥先生と共に、先ほどの幸先輩の様子について話し合っていたその時、始業時間十分前を知らせるチャイムが鳴り、雫達は一度教室へ戻ることにした。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!