夜を想う

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夜を想う

 私は一人、夜を歩く。  夜は好きだ。昼はがやがやしているが、夜は静か。この静けさが私のお気に入り。  深夜徘徊では? と言う輩もいるだろうが気にしない。私はもう高校3年生の年齢だし、ほぼ大人でしょ。    「さて、今日は何しようかなー」と、一人ぼやきながら歩いた。夜の住宅街は所々にある街灯が唯一の光で、虫がその光を求めて飛びまわっている。  「あれ、私みたいだなー。希望を求めてるみたい。まぁ、私には希望なんて無いけどねー」  またぼやきながら歩いていると、何かを蹴った。  「ん? なんだ?」  蹴った物を見ると、それはランドセルだった。まだ新しいので、1年生の物だと思う。  「なんだー、ランドセルか。中は何入ってるかなー」  ロックも外れていたので、足で雑に開けると、腕が転がり出てきた。小さいので、子どもの物だと思う。  「うわぁ……、ばっちぃなぁ……。無視無視」  善良な市民なら通報するところなのだが、私はしない。だって、パトカーとか救急車のサイレンはうるさいじゃん。けたたましい音は夜にいらない。  「ふふっ。私、夜を守っちゃったわ。ヒーローじゃーん」  まぁ、自慢できる友達なんて居ないけど。生まれた時から一人だし。  「誰でも良いから私を拾ってくれんかなー」  私は一人、夜を歩く。
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