1人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
人間失格
「いくぞ、覚悟しろッ!」
君は手にした得物でモンスターに斬りかかった。俊足で軽やかな足取りから繰り出された素早い太刀筋で攻撃をすると、君の数倍はある巨躯が地響きを上げて倒れた。モンスターは絶命したようで、二度とその巨躯を持ち上げる事はなく横たわったままになった。
「ロプラス、凄いじゃないかっ!」
君の友人の一人であるロゼッタが賛辞を称えた。
「凄い事は無い。当然の事をしたまでだ。
それに今はロプラスではない。オリアルだ」
君はロゼッタの賛辞が嬉しくない訳ではない。君の言葉通りいつものことをしただけで、称賛されるような筋合いは無いからだ。
「“隼速のオリアル”……噂には聞いていたが、実際はそれ以上の腕前だな……。本気で世界屈指と云われているのも頷けるな……」
彼もまた世界屈指と謳われる人物の一人である。「オリアルは凄い」その噂の真相を確かめようと今回のパーティに参加した。彼の想像を超えたオリアルの姿がそこにはあったのだから、動揺も隠せるものではない。
「噂? 何を言ってるんですか? 背ビレ尾ヒレを付けて着飾っていたとでも思っているんですか??」
ロゼッタがリーダーを務めるギルドメンバーであり、元リーダー・ティアリンもオリアルの強さを知っている。むしろ、過小評価されている事の方が不満に思っているくらいだ。
最初のコメントを投稿しよう!