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「で、でもさ。 そんな事言うくらいだから、楓って凄く稼いでると思うでしょ? 実際、ごくごく普通だし」 結婚する迄、楓がいくら貰っているのか、知らなかった。 楓の働いている美容室は、チェーン店でわりと有名な所で、そこのチーフ。 カリスマ美容師として、楓はけっこう指命も多いみたいだけど。 でも、まだただの従業員で、給料がそれ程良いってわけでもない。 「でも、来年には、俺店長だし! だから、店長になったら、そんな借金くらいすぐに返せるくらいに給料も上がるから」 楓の言う事は、嘘ではないのだろうけど。 でも、ここで、そうか、と折れたら、今までと何も変わらない。 「とにかく、今すぐお金をなんとかしたいの! だから、不倫して!」 私も、今回は絶対に譲らない。 「え?そんなにお金欲しい?」 「うん。欲しい。 浮気する?離婚する? どっち?」 楓はそんな私を見て、諦めたようにため息を吐いた。
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