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39-2
切っ掛けは酷いものだったか、あのアクシデントがなければ、自分の本質を知ることすらなかったかも知れない。
もちろん、慶太郎を介してヘドニス子とHaLとして出会って進む可能性がなかった訳ではないが、それだとこうはなからなかった気がする。
色々と考え事を巡らせているうちに、悠仁も瞼が重くなって、次に目を開けた時には、カーテンの隙間から明るい日差しが差し込んでいた。
「あ、起きた?おはよ」
「ん……おはよ。いま何時?」
「まだ7時半だよ」
先に起きていた絋亮は既に着替えを済ませていて、スマホから視線を外してソファーからベッドに居る悠仁を見つめている。
「まだそんな時間なんだな。今日はどうする?行きたいところあるなら観光して回るか」
「平日だし混んでないだろうから、テーマパークとか水族館に行きたいかな」
「よし。じゃあ朝食済ませたら、すぐチェックアウトして出掛けようか。お前、脚はどうなの」
「だいぶ楽になってきてるよ。杖なくても踏ん張れる」
「そっか。でもまあ、あんまり無理はダメだぞ」
「おっけー」
悠仁はベッドから起き上がって絋亮とキスをすると、そのままバスルームに向かって顔を洗い歯を磨き、昨夜乾かさずに寝てしまってボサボサの髪を整えると、髭を剃ってから着替えを済ませて荷物をまとめる。
「なあ絋亮」
「どうしたの」
「食べたらすぐチェックアウトできるように、荷物持って出ようか」
「そうだね。俺はもう荷物まとめてあるよ」
「そうか。じゃあ食べに行こうか」
モーニングビュッフェでお腹を満たすと、そのままチェックアウトを済ませてホテルを出た。
「レンタカー借りて移動するとして、水族館から行って、テーマパークの近くのホテルに泊まろうか」
「そしたら遅くまで遊べるもんね」
「夜もショーとかあるんだろ?それなりに混むかな」
「土日ほどではないだろうし、多分大丈夫でしょ」
すぐに今日泊まるホテルを予約すると、レンタカーを手配してドライブしながら水族館に向かうことにした。
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