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 写真用紙がないのでそのままネットで注文すると、それにしてもたくさん撮ったと感心しながら、また休みが取れたらどこかに行こうと話が盛り上がる。 「でもその前に引っ越しだな」  悠仁は狭い我が家を思い出して大きな溜め息を吐く。年度末が更新時期なので、出来れば早く転居先を見つけたい。 「それなんだけどさ、俺んとこは秋に更新なんだよね。だからとりあえず、悠仁は今の家引き払って、その間うちに住めばよくないかな」 「お前さ……絋亮。もちろん俺の家の更新とかそういう都合もあるけど、お前の場合は違うだろ?」 「分かってる」 「俺は本当に嫌なんだよ。家バレしてたら嫌な思いするのお前自身なんだから」 「ちゃんと考えてるよ。俺だって嫌だし」 「悪い。無神経な言い方した」  悠仁は絋亮を抱きしめると、もう一度小さく悪かったと耳元で謝る。  絋亮を心配するあまり、緊張感がない様子に苛立ちを覚えたが、心配掛けまいと平気を装っているだけで、なにも感じてない訳でも考えていない訳でもない。  今後の日常生活に不安を抱えているのは悠仁ではなく、被害にあった絋亮本人なのだから。 「いいよ、本当に分かってるから。俺だって悠仁に心配掛けたい訳じゃないからね」 「お前が悪いんじゃないのにな」  悔しさからついそんな言葉が漏れる。そんな悠仁を強く抱きしめると、絋亮は複雑そうに笑って答える。 「逆の立場だったら俺もそう言うと思う。でも自業自得の部分もあるとは思うから反省はしてる」 「それは違う。違うから自分を責めたりするなよ」 「……ん。ごめん」  すっかり重たい空気になってしまった部屋に、洗濯が終わった電子音が鳴り響く。 「腹減ったな。気分変えに、外に飯食べ行くか」 「それなら俺が作るよ」 「は?」  唐突な絋亮の宣言に、あまりにびっくりして変な声が出る。 「そんな驚く?悠仁のお母さんが色々教えてくれたから、試しに作ってみたいんだよね」 「いつの間にそんな会話したんだよ」 「悠仁が寝坊してる間に。かな」 「マジか。じゃあ任せるよ」  空になったマグカップを手に二人してソファーから立ち上がると、絋亮があれこれと食材の有無を確認する。  確か冷蔵庫にあるはずだからと、悠仁は洗濯物を回収するために一度その場を離れてバスルームに向かう。  乾燥まで済ませた洗濯物をたたんでいると、キッチンから不慣れな包丁の音が聞こえてくる。  悠仁はそれをどこかで楽しみながら洗濯物をたたみ終えると、ベッドルームに移動してクローゼットにしまい入れてからキッチンに向かう。
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