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 泊まって行けと云う申し出に答えを詰まらせていると、絋亮が滅多にないしせっかくだからと後押しして、そのまま実家に泊まることになった。  真彩の運転でスーパーに買い物に行き、刺身や豚カツが並ぶなんとも奇妙な夕食を楽しむと、ようやく順番に入浴を終えて、一階の客間に二組敷かれた布団の上でゴロゴロする。 「はあ……なんか疲れた」 「ははは。悠仁の実家だよ?」 「いや、分かるだろ。あのお袋と真彩だぞ。お前も質問攻めで大変だっただろ」 「そうでもないよ。スッとお父さんが間に入ってくれて仕事の話とかしてたし。凄くインテリなお父さんだね」 「お袋の相手とは思えないだろ」  あの人は本当に昔から賑やかなんだよと悠仁は苦笑いする。 「お母さんだって、真彩ちゃんも、関西弁が聞き慣れないだけで、感じ良くて大好きになったよ、俺」 「調子乗るから本人たちに言わない方がいいぞ」 「なんだよそれ」  面白そうにお腹を抱えて絋亮が笑う。その姿が可愛くて、悠仁は思わずギュッと抱き寄せてキスをする。 「帰ったら、本格的に家探そうな」 「一緒に生活するとなると、楽しいばっかりじゃないと思うけど。悠仁は本当にそれで良いの?」 「まあ喧嘩もするかも知れないけど、上っ面で整えて、しなかった後悔をするよりいいんじゃないかな」 「そうだよね。俺、思ったんだ」 「ん?」 「俺って父さんしか家族はいないでしょ。だから割と排他的な生き方でいいと思ってだんだけど、悠仁の家族に俺も家族だよって言われて、想像以上に嬉しかった」 「そっか」 「うん」  どちらからと言わず抱き合ってキスをすると、キスが深くなって、互いの舌を絡め合って呼吸が少しずつ荒くなる。 「ふっ」  静かな部屋に堪え切れずに漏れる吐息は淫靡に響く。 「……んっ」  互いにシャツの裾から手を忍ばせて、僅かに隆起した乳首を擦るように掌をゆっくりと動かす。  倒錯的な行為が興奮を煽って、互いの掌は悪戯に下半身に伸びて、狭間で熱を持ち始めた昂りを慰め合う。 「ん……だめ」 「ん。でも欲しい」 「ゴムあるけど」 「声我慢できるのか?」 「キスで塞いでよ」  カバンから取り出したゴムを着けると、体勢を変えて互いを口に含んで慰め合う。
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