134人が本棚に入れています
本棚に追加
37-1
泊まって行けと云う申し出に答えを詰まらせていると、絋亮が滅多にないしせっかくだからと後押しして、そのまま実家に泊まることになった。
真彩の運転でスーパーに買い物に行き、刺身や豚カツが並ぶなんとも奇妙な夕食を楽しむと、ようやく順番に入浴を終えて、一階の客間に二組敷かれた布団の上でゴロゴロする。
「はあ……なんか疲れた」
「ははは。悠仁の実家だよ?」
「いや、分かるだろ。あのお袋と真彩だぞ。お前も質問攻めで大変だっただろ」
「そうでもないよ。スッとお父さんが間に入ってくれて仕事の話とかしてたし。凄くインテリなお父さんだね」
「お袋の相手とは思えないだろ」
あの人は本当に昔から賑やかなんだよと悠仁は苦笑いする。
「お母さんだって、真彩ちゃんも、関西弁が聞き慣れないだけで、感じ良くて大好きになったよ、俺」
「調子乗るから本人たちに言わない方がいいぞ」
「なんだよそれ」
面白そうにお腹を抱えて絋亮が笑う。その姿が可愛くて、悠仁は思わずギュッと抱き寄せてキスをする。
「帰ったら、本格的に家探そうな」
「一緒に生活するとなると、楽しいばっかりじゃないと思うけど。悠仁は本当にそれで良いの?」
「まあ喧嘩もするかも知れないけど、上っ面で整えて、しなかった後悔をするよりいいんじゃないかな」
「そうだよね。俺、思ったんだ」
「ん?」
「俺って父さんしか家族はいないでしょ。だから割と排他的な生き方でいいと思ってだんだけど、悠仁の家族に俺も家族だよって言われて、想像以上に嬉しかった」
「そっか」
「うん」
どちらからと言わず抱き合ってキスをすると、キスが深くなって、互いの舌を絡め合って呼吸が少しずつ荒くなる。
「ふっ」
静かな部屋に堪え切れずに漏れる吐息は淫靡に響く。
「……んっ」
互いにシャツの裾から手を忍ばせて、僅かに隆起した乳首を擦るように掌をゆっくりと動かす。
倒錯的な行為が興奮を煽って、互いの掌は悪戯に下半身に伸びて、狭間で熱を持ち始めた昂りを慰め合う。
「ん……だめ」
「ん。でも欲しい」
「ゴムあるけど」
「声我慢できるのか?」
「キスで塞いでよ」
カバンから取り出したゴムを着けると、体勢を変えて互いを口に含んで慰め合う。
最初のコメントを投稿しよう!