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 実家でたっぷりと愛し合ってしまった気まずさがあるのか、翌日悠仁が起きた時にはもう絋亮の姿はなく、顔を洗い、トイレを済ませてリビングに行くと、真彩と楽しそうに談笑していた。 「おはよ」 「お兄ちゃん、もう11時過ぎてるんだよ。おはようじゃないよ」  真彩に起きるのが遅すぎると小言を言われるが、その隣にいる絋亮が俺もさっき起きたところだよと笑顔を見せる。 「おはよう、悠仁」 「なに。なんか楽しそうだけど俺の悪口か」  ソファーに座って大きく伸びをすると、親父とお袋は?と辺りを見渡す。 「お兄ちゃんたちゆっくりできるって言ってたから、ご飯の用意で買い物に行ってる。絋くんからは、慶ちゃんの話を聞いてたの」 「ああ、慶太郎か。お前に会いたがってたから、そのうち暇できたら勝手に来るんじゃないか?」  自分の実家には寄り付かないくせに、出張だなんだと理由さえあれば慶太郎は悠仁の実家に顔を出しているらしい。 「慶ちゃんはお土産のチョイスがおかしいから、毎回笑っちゃうよね。あ、絋くん!話戻すけど、本当にあの面倒臭さがりの慶ちゃんがキューピットなの?」  真彩は思い出したように絋亮に向き合うと、少し信じられない様子で首を傾げている。 「そうだよ。元々俺と悠仁は顔見知りだったんだけど、い……慶太郎さんが間を取り持ってくれた感じかな」 「絋亮、こいつ慶太郎が無花果なの知ってるから大丈夫だよ」 「あ、そうなんだ。真彩ちゃん俺はね、無花果さんと仲良しなんだよ」 「じゃあもしかして、絋くんもドラァグクイーンなの?だから慶ちゃんと仲良しとか」 「そうそう。イベントでよく一緒になって、絶対気が合いそうなヤツが居るからって、無花果さんが紹介してくれたのが悠仁」 「へえ、慶ちゃんにしてはやるじゃん。でもお兄ちゃんと元々顔見知りだったなら、びっくりしたんじゃない」  楽しそうに絋亮と話す真彩を見て、本当に家族が自分や絋亮を受け入れてくれてることを実感して、悠仁は少し感傷的になる。  涙こそ出ないが、感極まった表情を見られたくなくて、飲み物を取ってくるとその場を離れてダイニングキッチンに向かった。  冷蔵庫からお茶を取り出すと、適当なグラスに並々注ぐ。 「あ、お兄ちゃん。お母さんがサンドイッチ作ってくれてるけど食べる?」 「でももうすぐ昼だろ」 「言っても残りだからそんなに量はないよ」  言いながら冷蔵庫からサンドイッチを取り出して、真彩はこれくらいならいけるでしょとテーブルに皿を置く。 「絋亮と仲良く出来そうか」  絋亮と飲んでいたのだろう。コーヒーのおかわりを用意する真彩の後ろ姿を見ながら、サンドイッチを頬張って声を掛ける。 「絋くんと?そりゃ仲良くしたいよ。めちゃくちゃ優しいし、さりげない気遣いもあるし。それに超イケメンだしね。お兄ちゃんにはもったいないよねー」 「もったいないってお前」 「……良かったね、お兄ちゃん」 「おう」 「それ食べたらおいでよ。早く3人で話そ」  真彩はにっこり笑ってマグカップを持ち上げると、自分のは淹れてきてねとそのままリビングに引き返して行った。
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