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「はっ...はぁはぁ...」
勢いよく起き上がり、肩で息をする。
なんで急に子どもの時の夢など見たのだろう。
ぐっしょりと汗で濡れた髪をかきあげる。
嫌な夢見に心臓がぎゅっと鷲掴みされているように痛い。
ゆっくりと深呼吸し、胸のざわつきを治める。
野々宮と話したせいだろうか、気持ちが過去に引っ張られていたのかもしれない。
どれくらい眠ったのだろうか、辺りはすっかり暗くなっている様だ。
夜風にあたろうと窓に手を伸ばし、ふと、違和感に気がつく。
どうしてこんな時間に窓から夕陽の様なオレンジ色の光が入り込んでいるのだろうか?
不思議に思いカーテンを捲ると、そこにはありえないはずの人間の姿があった。
「ひっ…!」
驚き仰反るも、身体に力が入らず逃げられない。
ここは高層マンション。こんな場所に人影があるはずがない。
だが、そこにはたしかに人間の姿がある。
しかも、あかりはその人間から放たれている。
これは夢だろうか。
まだ夢を見ているのだろうか。
窓がひとりでに空き、カーテンが風にふかれ、その人影の姿が露わになる。
目の前に現れたのは、道化師のような姿をした男だった。
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