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同じクラスなんだから、と、なんだかんだ一緒に行動しようと渋る野々宮を半ば強引に先に行かせ、後ろからひっそりと教室に入る。
朝からクラスの注目の的となるリスクを交わせたと一人になれたことにほっとしつつも、いささか強引すぎただろうかと、少し野々宮に対し罪悪感を抱く。
そんなに構ってくれなくていいのに。
野々宮自身も好きで構っているわけではないのだろうけど。平等主義者の正義は息苦しさ極まりない。
ひっそりと息を潜めながら、周囲を見渡す。
クラスの中心には野々宮を活発な女子達が取り囲み、きゃっきゃっと声を高鳴らせている。
2年間も同じクラスなのに、いまだに顔と名前が一致しないのは加宮が彼らに関心がなさすぎるのか、それとも皆似たような格好をしているからだろうか。
校則に引っかからない程度の化粧に、淡く染めた髪、数サイズ上のだぼっとしたカーディガン、短く織り上げたスカート、ワンポイントをあしらった黒のハイソックス。
これぞ女子高生、とでも何かに書いてあったのかと疑うくらいのステレオタイプ。決まり事のように皆が皆を真似している。そう思うと、野々宮の艶やかな黒髪がより一層引き立つ。
彼女らにとっては野々宮は仲間の一員というよりは、憧れの対象なのだろう。
女子校の中で異質者は3タイプいる。
ほぼ多くはちょっと面白かったり、いじられ役だったり彼らから格下と判断されるタイプ。
まあ実際は彼らはその他大勢より格段に賢く、みんなに嫌われないように立ち回るのが得意なのだ。
そして残りの異質者は、異性がいないこの空間で好意の対象とされる者、つまり、野々宮のタイプと、全くの部外者とされる者に分けられる。
もちろん、加宮は後者なのだが。
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