あなたの人生、交換しませんか？

全くの部外者とされる者は、本当の意味でも異質者なのだ。皆と足取りを揃えるわけでもなく、取り入れられようともしない。
だからと言って、格下と判断していじったところでなんの反応も返ってこない。嫌な顔をするでもなく、何事もなかったかのようにスルーしていく。

つまり、面白くない、存在なのだ。

面白くないのならば無視してくれらばいいのに、自分の思い通りの反応を示さないが故に、どうにかして蹴落としたいと思われてしまうこともある。中学生の時はひどかった。
助けを乞うまで困らせてやろうとするやつに散々絡まれたのだ。
なぜそんなしつこく絡むのか？迷惑になることをしたのだろうか？答えのない問いに悩んだこともあったが、それももう過去の話。
今では行き過ぎた迷惑行為もないし、とても平和に過ごせているとは思う。
まあ、みんな平等主義者にはだいぶ困らされてはいるが。

脳裏に野々宮が浮かぶ。
彼女も彼女なりに苦労しているのだとは思うが、そろそろ私をどうこうしようとするのを諦めてくれたらいいのに、と加宮は眉間を寄せる。
移動教室の準備を終え、加宮はひっそりと教室を出て1限目の授業へと向かった。