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こんなにも性格がひねくれてしまったのはいつからだっただろう。
学校を終え、帰路に着いた加宮は、バスの車窓から景色を眺めつつ、ふと思いを巡らせる。
冷え切った体が日差しの温もりで熱を取り戻す。
人間って、なんでこんなにもややこしいのだろう…。
この生きづらさはいつになったらなくなるのだろうか。
加宮が加宮でありつづける限り、そのしがらみは一生付きまとってくるのだろうか。
時々、想像する。
自分が自分でなかったら、どんか人生を歩んでいただろう。
もっと、楽しく笑えていたのだろうか。
自分らしく生きていられただろうか。
所詮は戯言。
そんなこと考えるだけ無駄だとわかっている。
無駄だとわかっても願わずにはいられない。
目に映る柔らかな日差しに、ふっと頬をゆるめる。人はほっとする景色を見ると感傷的になるのだろうか。
最寄りのバス停を告げるアナウンスに、停車ボタンをそっと押す。
息のしずらい場所へ帰ってきてしまったな、と加宮は小さくため息を着く。
今日も両親は夜中まで帰ってこないだろう。
ポケットの中のプリントをくしゃりと握りつぶす。
できるだけ、顔を合わせない方がいい。
心揺さぶれるのはもう嫌だ。
加宮が加宮であるための、唯一の抵抗だ。
重い足枷を引きずるように、ゆっくりとした足取りで昇降口へ向かうのだった。
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