2.関係、微かな疑心

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……夢じゃなかった……!!!!! 「顔、超真っ赤。陽愛かーわい♡」 「っな…な、なに、からかって…!」 ドキドキバクバクと心臓を鳴らしながら、颯夏と距離を取る。 「っわ…私、先行くから!ついて来ないで!」 とにかく逃げたくなって、走る。 「えー、つれないこと言うなよ。オレら幼なじみじゃん」 私の気も知らずに、颯夏は追いかけてきた。 「っお…幼なじみが普通、恋人じゃないのにあんな事する?!」 颯夏が突然私の腕を掴んだ。 「恋人ならいいの?」 「な…」 振り返った私を、颯夏がじっと見つめる。 「い…いいとか、そういう事じゃなくて…」 手を振り払うつもりがさらに強く掴まれた。 その強さに、心臓が早鐘を打つ。 「じゃあ何?ちゃんと言ってくんなきゃ分かんない」 「っ…酷いよ!私が冬弥を好きだって知ってるくせに、何であんなこと…っ!」 「好きだから」 颯夏の答えは、真っ直ぐだった。 「好きじゃなきゃ、あんな事しない。陽愛が冬弥を好きなように、オレだって陽愛のことが好きだ」 「っ…」 「分かってるよ、酷いことしてるって。でもオレは後悔してないから」 颯夏は私から手を離すと、先に歩いて行ってしまった。 「……何よ、それ…。そんなの、酷い…」 昨日のことを忘れろ、って言われた方がまだマシだった。 あんなに優しく、甘く溶かすように触れられたら、忘れたくても忘れられない。 ───『陽愛』─── あんな声で、名前を呼ばないで。 あんな目で、私を見つめないで。 冬弥のことが好きなのに、颯夏のせいで頭の中が颯夏に支配されてる────…。
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