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side/颯夏
「りっつかー!」
教室に着くなり飛び付いてきたのは、女友達のサナ。
「どーしたの?いつもなら遅刻ギリギリなのに、今日は早いじゃん♡」
「ほっとけよ」
「そーいえば、今日は幼なじみたちと居ないの?」
「んー…ちょっと個人的な用があったから?」
「個人的な用ってナニよ?やらしーなぁ〜?♡」
「そういうお前がいちばんやらしいわ」
鞄を机の横に掛けて、椅子に座る。
「…ねぇ、颯夏。いつものとこ行こうよ」
サナが後ろから抱きついて囁いた。
「まだ人少ないし…いいでしょ?」
サナの手が首筋に触れようとした時、ガラッと教室のドアが開いて入ってきたのは陽愛だった。
「…」
こっちを見て一瞬だけ目を見張った陽愛は、ぷいっと視線を外して自分の席へと向かう。
意地でもこっちを振り返らないつもりなのか、全力でそっぽを向いている。
(…かーわい♡)
意識してるのがバレバレで、思わずニヤついてしまう。
「ねぇ、颯夏ってばぁ」
サナが痺れを切らしたように揺すってくる。
「あーオレ、もうそういうのいいわ。早く教室帰れ」
「な?!」
驚いてるサナの腕を離し、教室へ帰るように背中を押す。
「ひどい!颯夏のバーカ!」
サナは捨て台詞を吐いて教室へと帰って行った。
(ま、今日はさすがに陽愛は口を利いてくれないだろうな)
そう思いつつポケットからスマホを出してゲームのログインをしていると、目の前にスッと誰かが立った。
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