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──『どうして菜月なの…』
菜月より先に冬弥に好きだって言えなかった陽愛も悪かっただろうけど。
長く陽愛を見てきたオレにとっては、陽愛が可哀想だった。
だからこそ、酷く冬弥に嫉妬した。
あんなに想われてるのに気付きもしないで、菜月と堂々と付き合うなんて許せない。
だから、陽愛のことを救ってあげたかった。
陽愛がオレのことを考えて、オレのことで頭がいっぱいになればいい。
それで、冬弥のどこが好きだったかなんて、忘れてしまえばいい。
たとえ泣かせてでも傍にいられるなら、『幼なじみ』なんていうこの関係を壊してやる。
ずっとこのままで見ているなんて、我慢できないから。
『颯夏』
あの時のあの姿も、あの声も、あの涙も。
何もかも全部、オレのものだ。
陽愛は絶対、誰にも渡さない────。
side/颯夏 end
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