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──颯夏って、女の子に抱き付かれててもあんな平気な人だなんて…!
私のこと好きっていうの、嘘なんじゃないかな?!
そういうの、知りたくなかったんですけど!
……はっ!!
妙に昨日手馴れてたのは、もしかして、もしかしなくてもそういう事…?!
うわぁあぁ……嘘でしょ…!!!?!?!
一人で怒ったり落ち込んだりしていると。
「ねぇ、陽愛。陽愛は好きな人いないの?」
菜月がそんなことを尋ねてきた。
「えっ…?」
「だーかーらぁ〜、好きな人!いないの?」
無邪気な笑顔で菜月は私に笑いかける。
「いたら全力で協力するよ!」
「あ、ありがとう…」
なんて答えればいいのか分からなかった。
私の好きな人は冬弥だから──なんて言って、優しい菜月を傷付けたくない。
お似合いの二人だし両思いなのだから、私が亀裂を入れるような真似をしてはダメだ。
「でも今は…好きな人は、いないよ」
好きな人なんて、作るんじゃなかった。
勝手に恋して、勝手に失恋して、勝手に傷付くくらいなら、なんで好きになんかなってしまったんだろう…。
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