22.選択

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繰り広げられる光景から、目を逸らす。 ただ部屋に響くのは彼女の快楽に喘ぐ声と、椅子の軋む音。 どれだけ目をきつく瞑っても、現実は私を逃れさせてはくれない。 私を助けてくれる人は、ここにいない──。 ただ唇を噛み締めて、壁を見つめて、耐える。 だって彼女たちの方を見ていれば、きっと気がおかしくなる。 「ねぇ秋良(あきら)っ、あんたもその子とすればぁ?」 快感の吐息混じりに琳歌さんが尋ねた。 「…は?」 何を言うのかと思って、思わず琳歌さんと黒シャツの彼…秋良さんを交互に見る。 彼はちらりと私を見下ろしてきた。 「だって見てるだけじゃ、発散にもならないでしょ?」 「……ははっ。どこまでもひでぇ女」 黒シャツの彼が、ベッドに上がってくる。 「!」 ハッとして、私は彼を蹴ろうともう片方の足を振り上げる。 けれどそれも受け止められ、虚しい抵抗に終わった。 「おっと。勇ましいな、あんた。さっきまで大人しかったのに」 「やめて!触んないで!」 「どうせ、あの男とはやる事やってんだろ?同じことじゃん」 「あなた、頭おかしいわよ!どうかしてる…!」 「そうだな。じゃなきゃ、こんな頭のおかしい事してないもんな?」 私に抵抗させないつもりで、秋良さんがナイフを見せてくる。
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