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これ以上、抵抗しても無駄だ。
私のせいで、このままじゃ冬弥も颯夏も今以上に酷くなる可能性だって出てくる。
二人がここから救われるなら、私の選択は一つしかない。
(ごめんね、颯夏───)
「…もう、やめて……。別れる…から、二人にこれ以上、手を出さないで…!傷付けたりしないで!」
零れた涙が、頬を滑り落ちていく。
「…その言葉、信じるぞ?」
秋良さんが念を押すように聞いてくるのに対して、私は頷いた。
「言うことを聞く代わりに、二人を病院に連れて行って、手当てすると約束して…。それと…最後に少しだけ颯夏と話をさせてほしい…」
「……分かった」
秋良さんは少し考えてから、私の手から手錠を外してくれた。
「下手に抵抗したり逃走しようとしたら、タダじゃ済まないからな」
「しないから…。お願い…」
「琳歌、少しだけ外そう」
秋良さんは私から降りると、少しだけ納得がいかなそうな顔の琳歌さんを連れて部屋を出て行った。
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