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「…くやしいぃ〜…!」
ぽろぽろと情けなく颯夏に涙を見せてしまった。
だけど、もう自分で止められない。
胸が痛くて、苦しい。
菜月を選んだって事は、私は『恋愛対象』にはなれなかったという事だ。
冬弥もあの時、嬉しそうな目をしてた。
だって、菜月は可愛い。美人でスタイルも良くて、成績優秀で。悪いとこなんてひとつもないし。
それに比べたら、私なんて平凡。
背は小さいしスタイルも良くない。成績だって普通くらいだ。
冬弥も背が高くてスタイルも良く、成績優秀で女の子からモテている。
少しクールで、言動が冷たく見られがちな時もあるけど、根はすごく思いやりのある優しい人。
そんな誰もが羨むパーフェクト美男美女が付き合ったって、誰も文句は言わない。言えるはずがない。
「っ…冬弥ぁ…」
ホントに好きだったの。
いつだってそばにいて見守ってくれた、優しいあなたが好きだった。
「…ずるいよ…」
幼なじみという壁を壊すのが怖くて、素直に気持ちを言えなかった自分も悪い。
でもこれから、寄り添う二人を近くで見てる自信がない。
「私だって、好きだったのに…!どうして…。どうしてなの…!!」
「陽愛、落ち着け」
「なんでなの!?どうして菜月なの!!なんで菜月じゃないとダメなの?!私だって…!」
「っ陽愛!」
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