1.涙の痛み

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「…くやしいぃ〜…!」 ぽろぽろと情けなく颯夏に涙を見せてしまった。 だけど、もう自分で止められない。 胸が痛くて、苦しい。 菜月を選んだって事は、私は『恋愛対象』にはなれなかったという事だ。 冬弥もあの時、嬉しそうな目をしてた。 だって、菜月は可愛い。美人でスタイルも良くて、成績優秀で。悪いとこなんてひとつもないし。 それに比べたら、私なんて平凡。 背は小さいしスタイルも良くない。成績だって普通くらいだ。 冬弥も背が高くてスタイルも良く、成績優秀で女の子からモテている。 少しクールで、言動が冷たく見られがちな時もあるけど、根はすごく思いやりのある優しい人。 そんな誰もが羨むパーフェクト美男美女が付き合ったって、誰も文句は言わない。言えるはずがない。 「っ…冬弥ぁ…」 ホントに好きだったの。 いつだってそばにいて見守ってくれた、優しいあなたが好きだった。 「…ずるいよ…」 幼なじみという壁を壊すのが怖くて、素直に気持ちを言えなかった自分も悪い。 でもこれから、寄り添う二人を近くで見てる自信がない。 「私だって、好きだったのに…!どうして…。どうしてなの…!!」 「陽愛、落ち着け」 「なんでなの!?どうして菜月なの!!なんで菜月じゃないとダメなの?!私だって…!」 「っ陽愛!」
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