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瞬間、私の唇が颯夏の唇によって塞がれていた。
「っ」
驚きのあまり涙が止まる。
「…落ち着け、陽愛」
ゆっくり唇を離して、優しく颯夏が呟く。
「お前の気持ちも分からなくはない。でも、こうなってしまった以上、もうどうにもならないだろ」
「りつ、か……いま…」
「そうでもしねーと、お前止まらなさそうだろ」
颯夏と…キスしてしまった…。
理解した途端、顔に一気に熱が集中する。
「陽愛」
呼ばれてハッとして顔を上げると、颯夏が至近距離にいた。
「っな…」
思わず驚いて後退ると、壁にどんと背中がぶつかった。
それを追いかけるように、颯夏が距離を詰める。
「…な、なに颯夏?真剣な顔しちゃって…」
真剣な眼差しの颯夏から逃げるように、慌ててベッドから降りる。
「陽愛」
腕を掴まれたかと思うと、後ろから抱き締められた。
「! り…颯夏?!」
「オレ、お前に付け込もうとしてる。お前が冬弥と付き合えなくて落ち込んでる今がチャンスだって」
「な…っ?!」
くるりと後ろを振り向かされたかと思うと、再び唇をキスで塞がれる。
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