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side/冬弥
──空が薄暗くなってきた。
「菜月、そろそろ帰ろう。暗くなってきた」
「えー!もうちょっとだけ遊びたい〜!」
「ダメだ。門限破ったらおばさんに怒られるぞ」
「ぶー…」
「そんな口尖らせても無駄。ほら帰るよ」
手を差し出すと、菜月が嬉しそうに繋いでくる。
「ねぇ、冬弥。あたしのこと好き?」
「……好きだよ」
「えへへ、あたしも好き〜♡」
しばらく歩いて菜月の家の前に着くと、菜月が突然ぐいっとシャツを引っ張った。
「!」
少し触れるだけのキスをして、菜月は笑った。
「じゃ、また明日♡」
「…あぁ」
菜月が家に入ったのを見届けて、自分も家に帰る。
「ただいま」
「お帰り、冬弥。お母さんこれから会社戻るね。あ、あと机の上に置いてあるご飯、温めて食べてね」
「分かった、いってらっしゃい」
ぱたぱたと入れ違いに出て行った母を見送り、着替えるために自分の部屋へ向かった。
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