1.涙の痛み

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side/冬弥 ──空が薄暗くなってきた。 「菜月、そろそろ帰ろう。暗くなってきた」 「えー!もうちょっとだけ遊びたい〜!」 「ダメだ。門限破ったらおばさんに怒られるぞ」 「ぶー…」 「そんな口尖らせても無駄。ほら帰るよ」 手を差し出すと、菜月が嬉しそうに繋いでくる。 「ねぇ、冬弥。あたしのこと好き?」 「……好きだよ」 「えへへ、あたしも好き〜♡」 しばらく歩いて菜月の家の前に着くと、菜月が突然ぐいっとシャツを引っ張った。 「!」 少し触れるだけのキスをして、菜月は笑った。 「じゃ、また明日♡」 「…あぁ」 菜月が家に入ったのを見届けて、自分も家に帰る。 「ただいま」 「お帰り、冬弥。お母さんこれから会社戻るね。あ、あと机の上に置いてあるご飯、温めて食べてね」 「分かった、いってらっしゃい」 ぱたぱたと入れ違いに出て行った母を見送り、着替えるために自分の部屋へ向かった。
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