1.涙の痛み

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───甘く溶けるような、淡い蜂蜜色の月の光の中で私はぼんやりと考えていた。 もし時が戻せたら、と。 ただ楽しく笑い合えてた幼いあの頃に戻れるなら。 きっとこんな痛みなんて、知ることなんてなかったはずなのに。 「陽愛」 颯夏の甘い声も。 「陽愛」 菜月の嬉しそうな声も。 「陽愛」 支えにしてた冬弥の声も。 全部全部、今は苦しい。 どうして、こんな事になってしまったんだろう。 こんなはずじゃ、なかったのに────…。
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