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───甘く溶けるような、淡い蜂蜜色の月の光の中で私はぼんやりと考えていた。
もし時が戻せたら、と。
ただ楽しく笑い合えてた幼いあの頃に戻れるなら。
きっとこんな痛みなんて、知ることなんてなかったはずなのに。
「陽愛」
颯夏の甘い声も。
「陽愛」
菜月の嬉しそうな声も。
「陽愛」
支えにしてた冬弥の声も。
全部全部、今は苦しい。
どうして、こんな事になってしまったんだろう。
こんなはずじゃ、なかったのに────…。
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