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プロローグ
「いいかい、恋をしてはいけないよ。萌音にはもう決まった人がいるんだからね」
そう言われたのは高校生の時で、父親の言葉の意味が理解できなかった。
何故私は自分の意思で恋をしちゃいけないの?
だけど我が家では父親の言葉は絶対的なもの。従うのが当たり前だったから、私も頷くしか出来なかったの。
恋をしてはいけないーーこれは一種の呪い。
恋をしないーーこれは私なりの誠意ある決断。いや、違うかもしれない。抗えない未来への諦め。
でも仕方ないの……この家に生まれた私の宿命。
"親の決めた婚約者"を、"運命の人"だと思えたら最高なのに……。そんなありもしない夢見たいなことを願ってしまうのは、私が現実を知らないお子様だから?
それとも……あの人が忘れられないから……?
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