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「へ……?」
ケンちゃんもヨシくんも、ぽかーんと口を開けて僕の鉢植えを見ていた。いい気味だ。僕はにやりと笑って、緑色の芽がぴょこんと飛び出した鉢植えを見せつけてやったのである。
「誰が、芽なんか出ないって?」
驚いているのは、あいつらだけじゃない。クラスの他のみんなも、先生もびっくりしている。何故なら、球根を植えてたった三日で僕のチューリップだけ立派な芽を出したからだ。
「僕は育て方がお前らなんかより上手だからな。だから、すごく早くチューリップも咲くんだ!」
「ふ、ふん!芽が出たって、花が咲かなかったら意味なんかないんだからな!」
「咲くって。お前らのなんかよりずーっと綺麗な花を咲かせてやるんだからな!」
それも、僕は魔法で色を変える方法も施してある。白い球根を植えても、ちゃんと赤い花が咲くのだ。ケンちゃんたちはもっともっと驚くだろう。魔法の存在を教えてやるつもりはないが、彼等が僕をバカにしたことを謝ってきて平伏してきたらそれでもういいのだ。
優越感たっぷりの僕に、先生だけが何処か心配そうな声で言ったのだった。
「突然変異かしら、心配ね。……まだ寒いのに、芽が出てきてしまうなんて……」
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