三島さんの再会

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「こんばんは」  少しひんやりとした空気と共に店に入ってきたのは、三島さんだった。  街路樹の落とし物、枯れ葉が奏でたかすれた音はすぐに消えて、 三島さんが手をこする音がかすかに聞こえてきた。 「いらっしゃい。段々夜の冷えが身に染みるようになってきましたね」  尚樹の挨拶に肯きを繰り返しながら三島さんはカウンターの端に座った。  いつものね、と、普段ならまず酒の注文をするのだが、 今夜はめずらしく、聞いてよマスター、と話を先に始めた。
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