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納得したのもつかの間、意味不明な男の言葉に疑問をぶつけた。
「あのそれで・・体が無いってどういうことですか?
長澤さんたちみたいに見えるってどういうことですか?
あなたの言っている事が全然理解できないんですけど」
次第に勢いを増していく尚樹のテンションを
まるで静めるかのように男が再び手をかざす。
すると、まるで本当にその手が気持ちを落ち着かせたかのように、
尚樹の鼓動が普段のリズムを取り戻していった。
肩の力が抜けた尚樹に向かって男は、
「今日はこの辺にしておきましょう。
いっぺんに理解するのは難しい話ですから」
と、グラスに残る水割りを一気に飲み干してから立ち上がった。
「え?もうお帰りですか?まだいらしたばかりじゃあ・・」
尚樹が壁の時計を見上げる。え!と驚きの声を発する。
もう12時になろうとしている。
男が入ってきたのはたしか、10時半くらいじゃなかったか。
そしてすぐに彼との会話が始まり、その時間だって
10分もしていない感覚なのだが。
もう1時間以上の時間が過ぎているとは。
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