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「・・言ってました。ねえ照美さん、信彦さん、俺のほうも聞きたいです。
あの人、どういう人ですか?お二人の知り合いだとは言っていました。
だけど、ちょっと変ですよね?体が無いから飲めなかった、とか、
帰る時もドアが開く音がしてないのにいつの間にかいなくなっていて。
さらに驚くのは水割りを出したんですが、金も、もらってないんだけど
出したはずの水割りも実際には出してなかったみたいで」
いっきにまくし立てた後、どうしても聞きたい事を口にした。
「信彦さんと照美さんみたいに俺たちが見えるようになったんだよって、
その人に言われたんですよ。え、なにが見えるっていうんですか?
いったいなんなんですか?」
興奮気味の尚樹が、怒っているわけじゃないんですと
バツが悪そうに背を丸める。
信彦は、すみません!と声を張り、照美はごめんなさいと小さく呟いた。
「正直にいいますね」
信彦が背筋を伸ばし、腿の上でこぶしを握った。
「マスターが昨夜会った男性は、もうこの世にはいない人なんです」
「は?」
「死んでしまった人です。つまり・・霊です」
「何を言ってるんです?そんな、そんな・・」
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